一秒でも早く見つけたい!『膵癌』

坂東三津五郎さん(2015年2月21日 59歳没)、竹田圭吾さん(2016年1月10日 51歳没)、元横綱千代の富士の九重親方(2016年7月31日 61歳没)、ムッシュかまやつさん(2017年3月1日 78歳没)星野仙一さん(2018年1月4日 70歳没)――ここ数年で多くの著名人が、膵癌で亡くなっています。

我々開業医にとって、すい臓がんは、とにかく「怖い!」病気です。日本では年間約3万8000人がすい臓がんと診断され、年間約3万3000人が亡くなります。患者数と死亡者数がほぼ同数である事からわかるように、発見後の治療が非常に難しい、悪性度の高いがんです。すい臓の周辺には血管が多く存在し、かつ、胃癌などと違って、周りに防波堤の役目をする筋肉がありません。そのため、すぐに近くの血管に広がってしまいます。膵臓からまわりの血管に癌が拡がると、癌の大きさが小さくても手術が行えないことが多々あります。この予後の悪さ、進行の速さも怖さの一因ですが、個人的には「分かりにくい!」が一番の感想。とにかく、初期症状が分かりにくいのです

以下の図を見て下さい。


すい臓の位置、分かりますか?胃の下の方からちょこんと顔を出しているのがすい臓です。この「ひょっこり感」が曲者です。一応、初期症状としては「みぞおちの違和感」「食欲がなくなる」「お腹が張る」「背中が痛くなる」などが挙げられますが、初期には無症状なことが多く、仮にこれらの症状が出たとしても、同様の症状は胃炎や逆流性食道炎などでも起こることがあり、何となく「じゃあ、とりあえずお薬出しておきますね」で過ぎてしまうことも多々あります(もちろん、反省すべきところですが(-_-;))。ちなみに、さらに進行すると「黄疸(目や皮膚が黄色くなる)」や「糖尿病が急に悪くなる」といった比較的分かりやすい症状も出てきますが、この時点で見つかるのは、医師としては“負け”だと思います。

何とか早く見つけられれば・・・。

日本膵臓学会が発表している『膵癌診療ガイドライン2016』および2019年度版の草案には、膵がん発症の危険率が詳細に記載されています。それを踏まえた『早期膵がん発見のためのチェックリスト』は以下の通りです。

【早期膵がん発見のためのチェックリスト】

                『膵癌診療ガイドライン2016』および2019年度版草案より

改めて言いますが、膵がんは本当に怖い病気です。このチェック項目に当てはまる方は、一度主治医にご相談下さい。

なお、当院では、膵がんのリスクを評価する「PanaSee(パナシー)検査」も行っています。是非ご利用下さい。