年齢を重ねると、どうしても「体力が落ちたなぁ」「最近食べられなくなったなぁ」と感じることが多いと思います。『老化現象』といった身も蓋もない言われ方をしていましたが、最近では『フレイル』と表現することが多くなっています。これは2014年に日本老年医学会より提唱された概念です。英語で老衰や虚弱を意味する「Frailty(フレイルティー)」をもとに作られた造語で、単なる老衰とは違って“予防可能な状態”という意味が含まれます。さらに、身体的な虚弱以外にも、認知機能の低下やうつなどの精神的な側面や、貧困や独居などの社会的な側面も含む概念です。

 

この言葉、単に「老化って言葉は聞こえが悪いから、ちょっとカッコよく言ってみました」といった単純なものではありません。75歳以上の方のフレイルの頻度は20~30%程度であり、その多くが要介護状態に移行するといった報告もあります。また、平成25年の厚生労働省の報告では、介護が必要になった原因として「高齢による衰弱」は、「脳血管障害(18.5%)」、「認知症(15.8%)」についで第三位(13.4%)となっています。他の疾患と同様、“早期発見・早期治療”が極めて大切な状態なのです

 

 

日本人を対象としたフレイルの診断基準はまだ確立していませんが、海外の基準も踏まえて、以下のようなものが提唱されています。皆さんもこの基準に当てはめてみてください。

 

0項目:健常状態  1~2項目:プレフレイル  3項目以上:フレイル

 

フレイルの中でも大切な要素である筋力低下は『サルコペニア』といいますが、これはもっと簡便なチェック方法があります。

 

「指輪っかテスト」

両手の親指と人さし指で輪っかをつくり、ふくらはぎの最も太い部分を囲み、指のあまり具合をみるテスト。隙間ができる場合は筋肉量が少なくなっており、サルコペニアの疑いありと判断します。

 

また、最近は筋肉が減り体の中が脂肪だらけになり、筋肉の中に脂肪が入り込んだ『サルコペニア肥満』というものも注目されています。この状態では「指輪っかテスト」もあてになりません。以下のチェック項目のうち、一つでも当てはまる方はサルコペニアの疑いありです。

 

 

フレイルの状態は、対策すれば十分に健常状態やプレフレイル(フレイルの前段階)に戻ることができます。じゃあ、どんな対策をすればいいか?それはまた次の機会に書きますね。