少し遅くなりましたが、先日は当院で行われた『第二回健康フェア』にお越しいただき有難うございますございました。私の講演にも非常に多くの方々が参加していただきました。「病気に負けない!心と身体の作り方」なんて、やたらに大きな風呂敷を広げてしまって、ちょっと煩雑な内容になったような・・・申し訳ありませんm(_ _)m 次回も開催予定ですので、懲りずにご参加下さい。

 

さて、今回は患者様からリクエストを頂いた『頭痛』について書いてみようと思います。よく、「私は片頭痛持ちです」と言われる方がいらっしゃいますが、私はその時「それはお医者さんに診断されたんですか?」と伺うことにしています(取りようによっては嫌味っぽく聞こえますが💦)。ただ、これって結構大切な質問なんです。いわゆる“頭痛持ち”と言われる方々の多くは『緊張型頭痛』と言って、頭痛全体の約90%を占めています。慢性頭痛の原因としてメジャーな群発頭痛(といっても、頻度は全体の0.5%程度ですが)も含め、ご自身がどの頭痛のタイプに当てはまるかチェックしてみて下さい。

 

(出典)「エーザイ(株)頭痛チェックシート」監修、埼玉精神神経センター 埼玉国際頭痛センター長 坂井文彦医師

 

 

やはりこの中で問題になるのは『片頭痛』です。特徴は上の表の通りですが、もう少し詳しく見てみましょう。

 

 

これ、医療の世界で『医聖』と言われている、古代ギリシアのヒポクラテスが、片頭痛と思われる頭痛について語ったものです。2400年前にも関わらず、片頭痛の特徴がほぼ押さえられています。成人の約8%が持っていると言われ、女性の有病率は男性の約4倍で、生理や排卵と関連して現れることが多いです。思春期ごろから多くなり、60歳頃にはほとんど無くなります(最盛期は 30歳代)。なにより“前兆”の存在が特徴的で、33~75%に認めると言われています。こんな感じなんだそうです。

 

 

診断は国際頭痛学会の診断基準を用いるのが王道ですが、実際には以下のような質問項目を使います。これ以外にも「家族に同じような症状の方がいる」「天気や生理のタイミングで悪くなる」「昔から乗り物酔いしやすい」といった情報から、総合的に判断することが多いです。つまり、診断には知識以外に経験も必要になりますので、ある程度頭痛診療に慣れた先生に診てもらうことをお勧めします。

 

 

治療にはもちろん薬を使いますが、ここではご自分でできる対処法を紹介します。まず、まず、痛む部位をタオルや冷却シートで冷やしてください。温めたり揉んだりすると逆効果なのでご注意を。静かな暗い部屋で安静にし、出来れば睡眠をとってください。外出する際は、強い光を避け、サングラス、帽子、日傘などで対策を。耳栓も必要ですし、騒音に晒されるくらいならイヤホンで音楽を聴いていた方がマシです。チョコレートやお酒(特に赤ワイン)、柑橘類、海藻、香辛料、うま味調味料などは増悪因子なので避けましょう。コーヒーや緑茶などのカフェインを含む飲み物をとると一時的に改善することがありますが、飲みすぎるとむしろ片頭痛が酷くなりますのでほどほどに。入浴は片頭痛を酷くしますので避けて下さい。また、家電などから出る電磁波も片頭痛を起こす可能性がありますので、出来るだけ離れるようにして下さい。

 

片頭痛そのものに対してではありませんが、頭痛に対して効果的なツボもあります。頭頂部にある「百会(ひゃくえ)」というツボが有名ですが、個人的には、腕にある「合谷(ごうこく)」「外関(がいかん)」というツボがお勧めです。特に親指と人差し指の間の、指の付け根にある「合谷」は、頭痛以外にも風邪の初期症状、歯の痛み、肩こり、ストレスなど色々な効果がある万能ツボですので是非お試しください。

 

 

片頭痛についてさらに詳しい内容を知りたい方は、小生が以前に医療者向けに書いたブログがありますので、そちらをご覧下さい(知ってて当然!? 最近の片頭痛事情)。