皆様にとって、病院とはどういったところでしょうか?一概には言えませんが、多くの方々にとっては、病気や怪我の時に“仕方なく”訪れる、悪い意味で“特別”な場所なのではないでしょうか。「出来れば関わりたくない場所」と思われているかもしれません。病気というネガティブなものを扱っている以上、そうお考えになるのも仕方がないと思います。

あんどう内科クリニックは、「ファミリードクター」であることを理念として揚げています。簡単に言えば、いつも地域の皆様のそばにいて、ご自身の健康や医療のことはもちろん、ご家族の医療に関わる心配事まで、気楽に安心して相談できる「医療よろず相談所」です。病気になった時に訪れるだけではなく、健康づくりや病気の予防にも力を入れ、貴方の“現在”の問題を解決するだけでなく、“未来”に問題が起こる可能性を出来る限り下げるよう努めて参ります。

これまで多くの患者様に接させていただき、「良いファミリードクターに出会えるかどうかが、人生を穏やかに安心して過ごすための重要な要素の一つ」という思いを強く持つに至りました。貴方と貴方のご家族にとって「最良のファミリードクター」になることが、スタッフ一同の願いです。ただ、このような医療を行うためには医療に関する幅広い知識と経験が必要になります。専門領域に偏った知識では、対応することが難しい状況も多くあるでしょう。少しでも皆様にとっての理想の「ファミリードクター」になるために、当クリニックでは以下のような領域に力を入れています。

生活習慣病

運動不足、食習慣、喫煙、ストレス・・・生活習慣病は読んで字の如く、普段の生活習慣が深く関わっており、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、COPDなどが代表的な疾患です。これらの病気は発症しても最初は自覚症状がなく、「サイレントキラー」などと呼ばれています。また、一つの生活習慣病や次の生活習慣病を引き起こすことが知られています(下図)。最後にたどり着く病気はどれも命に係わる恐ろしい病気です。ただし、例え生活習慣に問題がなくても、遺伝的な問題で発症する場合もあります。「症状がないから大丈夫」「若いから大丈夫」ということはありません。ドミノが倒れ始める前に、是非一度受診して下さい。

生活習慣病
日本臨床 61:1837(2003)より

プライマリ・ケア

「プライマリ」とは、「プリマ」(主役)からきているとされ、「最初の」「主要な」「近接な」「基本的な」「重要な」といった意味があります。それを受けて、「プライマリ・ケア」とは『患者の抱える問題の大部分に対処でき、かつ継続的なパートナーシップを築き、家族及び地域という枠組みの中で責任を持って診療する臨床医によって提供される、総合性と受診のしやすさを特徴とするヘルスケアサービスである』(1996年米国国立科学アカデミー)と定義されています。広島大学病院総合内科・総合診療科のご厚意により提供していただいた以下の図が分かりやすいと思います。

プライマリ・ケア
広島大学病院総合内科・総合診療科HPより

前述した生活習慣病はもちろん、予防接種、健康診断、健康相談などの予防医学、だるさ、熱、めまい、息苦しさ、頭痛、胸痛、腹痛、腰痛、むくみ等の諸症状、感染症(風邪症候群、感染性腸炎、肺炎、膀胱炎など)、貧血、脱水、不整脈などの急性疾患、認知症、肝機能障害、腎機能障害、心臓疾患、貧血、アレルギー(花粉症、気管支喘息など)、膠原病(関節リウマチなど)、甲状腺疾患等慢性的な疾患など、どんなことでも対応させていただきます。

プライマリ・ケアにつき、更に詳しく知りたい方はコチラをご覧下さい。

総合診療

NHKの『総合診療医ドクターG』という番組をご存じでしょうか?全国の有名な医師と研修医たちが、患者様の様々な情報から病名を探り当てるまでの謎解きの面白さをスタジオで展開する番組です。ここで繰り広げられている熱い話し合いが、まさに総合診療医の頭の中で行われています。身体の状態だけでなく社会生活なども含めたあらゆる情報から診断を導き出す、必要に応じて適切に臓器や疾病に特化した専門医への橋渡しをする、総合的な診療能力を有する医師による診療 ―― それが『総合診療』です。

総合診療
広島大学病院総合内科・総合診療科HPより

 

総合診療
広島大学病院総合内科・総合診療科HPより

総合診療の分野には、垣根がありません。「この症状は自分の専門外だから、他で相談して下さい」という言葉は極力使いません。「内科診断のプロフェッショナル」(少なくともそうありたいと思っています)として、皆様によりよい医療を提供できるよう努めて参ります。

『総合診療医』についてさらに詳しく知りたい方は、日本プライマリ・ケア連合学会により作成された以下の動画をご覧ください。

心療内科

「緊張するとお腹が痛くなる」「イライラして頭が痛い」「不安なことがあって眠れない」―どなたでも一度は経験があるのではないでしょうか? 心と身体は繋がっており、肉体的・精神的なストレスが過度にかかると、症状として現れることがあります(これを「心身相関」と言います)。ストレスが原因と言われると「気持ちが弱いから」と思われるかもしれませんが、決してそうではありません。むしろ、ストレスに対して“頑張りすぎてしまう方”ほど、ストレスが症状に出てしまう傾向があります。もちろん、ストレスは一般的な検査結果に反映されません。症状で苦しまれて医療機関を受診し、「検査データは何も異常ありません」→「この症状は精神的なものです」と言われ、苦しまれている患者様に大勢出会ってきました。そういった方々のお役に少しでも立ちたい――私が総合診療とともに心療内科を学んだ理由です。あくまで内科の範疇にはなりますが、うつ病、不眠症、不安障害など、「もしかしたら精神的なものかもしれないけど、精神科に行くのはちょっと・・・」という方にとっての拠り所になれれば幸いです。

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もちろん、当クリニックだけでは対応できないような緊急性の高い病態、専門性の高い疾患、診断の困難な症状もあります。その際は、躊躇せず提携する病院や医師を紹介させていただきます。「紹介して欲しいけど、先生の機嫌を害するのではないか・・・」といったご配慮をいただく必要は全くありません。最終的に患者様やご家族が幸せになっていただければ、それが我々の一番の喜びです。

院長から皆様へ

現代は「医療情報過多」の時代です。メディアには毎日のように「スーパードクター」と呼ばれる先生方が登場し、書店には医療関連本が山積みになっています。さらに、ネット上には、信憑性があるのかないのか分からない情報が溢れています。その結果、多くの方々が、感じる必要のない“不安”を抱えられているのではないでしょうか?その不安は、大きな医療機関を受診したからと言って、必ずしも解決されません。むしろ、不安が助長されてしまうことも多々あります。専門性が進みすぎたことによる「病気優先」「データ優先」の医療の弊害です。

「専門に特化しすぎた医療では、地域医療を担うことはできない」と考え、私は当時マイナーな領域であった『総合診療』を徹底的に学んできました。具体的には、『領域に関わらずあらゆる症状の方が受診される総合診療外来』、『多くの診断困難症例が入院してくる大学病院総合内科入院管理』、『歩いてくる方から心停止で搬送されてくる方まで受診される救急外来』などを働き場としてきました。また、こういった総合的な診療を実践する上で、患者様の背景にある心理的な問題へのアプローチの必要性を感じ、『心療内科外来』も行っています。さらに、生活習慣病等の最新の知識を更新していくため、『研修医教育』も積極的に行ってきました。「“病気”ではなく、病気を患ったそれぞれの“人”を診る」――やっと皆様に還元できる環境が整いました。

あんどう内科クリニックは、地域の皆様に寄り添い、健康のこと、医療のことを“気軽に”“安心して”相談できる『街の健康サロン』になれるよう努めてまいります。皆様にとって、距離的にも心理的にも、いつも近くにいるファミリードクターとして、末永くお付き合いいただければ幸いです。