毎年毎年「今年の夏は暑いですよ~」なんて皆さんにお伝えしていますが、今年はここ20年で最も暑いみたいです。チベット高気圧が大陸東部から日本付近にかけて強い見込みで、太平洋高気圧も強く、さらに北への張り出しが強いのがその原因なんだとか。ちなみに、2016年が1898年の統計開始以来最高の平均気温だったようですので、それより高いと予想されている2017年は・・・過去120年間で最高(最悪?)の夏になりそうです。つまり、今年はここ120年で最も「熱中症に注意!」なんです。
『熱中症』は、運動や暑熱により起こる身体の障害の総称です。難しく言うと、脳の中の視床下部(ししょうかぶ)という体温を調節する場所の機能がマヒしてしまい、汗が出なくなってしまった状態です。よく赤ちゃんが車の中に放置されて・・・なんて痛ましい事件もありますが、もちろん大人も罹患します。持病をお持ちのご高齢の方や、肥満、糖尿病の方、アルコールを沢山飲まれる方などに多く発症しますが、筋肉量の多い方も熱が筋肉に籠ってしまい要注意です。ちなみに、以前言われていた『熱射病』や『日射病』は、重症の熱中症のことです。
2015年に日本救急医学会から、一般の方々も対象にしたガイドラインが発表されています。特に、初期症状であるⅠ度の症状と治療は是非覚えておいて下さい。
このⅠ度は別名『熱けいれん』と言い、大量の発汗に対し、水分のみを補給した際に起こりやすく、相対的な塩分の不足が原因です。水分補充とともに、必ず塩分も補充するようにしてください。涼しくて風通しの良い場所に避難して、締め付けている服を緩めて下さい。首筋や脇の下を冷やすと効果的ですし、霧吹きがあれば身体全体にかけていただくのも有効です。
最後に、熱中症予防の食べ物と飲み物について。ミネラル入りの麦茶やみそ汁などは、失ったミネラルを補充するの効果がありお勧めです。また、スイカは水分が90%以上と非常に豊富な上に、糖分やカリウム・カルシウム・マグネシウム等のミネラルも含まれているので、少量の食塩を加えて摂取すると非常に効果的です。スポーツドリンクが勧められていますが、かなりの糖分が含まれていますので糖尿病の方は要注意(脱水に伴う高血糖症状の場合もあります)!また、糖度が5%を超えると水分の吸収が悪くなってしまいます。一般的なスポーツドリンクは糖度が5%を超えますので、糖尿病ではない方も薄めて飲むことをお勧めします。OS-1やアクアソリタといった経口補水液は、脱水の際に使われる点滴とほぼ同じ成分が入っていますので、ご自宅に常備しておくこともいいでしょう(当院でも注文可能ですので、お気軽にスタッフまでお問い合わせ下さい)。
夏の体調管理は本当に大切です。もう一つの敵、『夏バテ』に関しても、別の機会に触れますね。