『眠れないときはヒツジを数える』という風習は全国共通だと思います。私が小学校の時、遠足の帰りのバスの中でそのBGMを流されたことがあります。宗教音楽(?)みたいなものをバックに、すごく低い男性の声で「ヒツジがいっぴ~き、ヒツジがにひ~き」・・・あまりの不気味さに、20匹目のヒツジの辺りで中止になっていた思い出があります(^_^;) この方法、もともとはイギリスから入ってきたもので、英語の“sheep”が“sleep”と音感が近いから・・・という単純なもの。もちろん、「ヒツジ」では何の効果もありません。むしろ、日本人にとってあまり馴染みのないヒツジをイメージするのは、それだけで脳が活性化しちゃいます。
前置きが長くなりましたが、本日のお題は『不眠』です。なんでも、日本人の平均睡眠時間は470分で、韓国(469分)と並び最短(最長はフランスの530分)なんだそうです。それにも関わらず、不眠を訴える割合は20.9%と高くありません。「眠れていないのに、眠れていない自覚が少ない」という、勤勉な日本人らしい結果ですね。
国際睡眠障害分類第2版では、『不眠症』を以下のように定義しています。
A) 睡眠の質や維持に関する訴えがある
B) 訴えは適切な睡眠環境下において生じている
C) 日中の機能障害が認められる(倦怠感 or 不定愁訴,集中力・注意・記憶の障害,社会的機能低下など)
ここでは、「どの程度眠れないか」といったことには触れられていません。つまり、『不眠がある=不眠症』ではないんです!簡単に言えば「眠ろうとしているのに眠れず苦痛」「日常の睡眠で休養がとれないと感じる」が『不眠症』なのです。
『不眠』は、内科疾患との関連も深いと言われています。今回は『高血圧』と『糖尿病』との関連について、簡単にまとめてみます。
<不眠と高血圧>
- 睡眠時間7~8時間の群に比べ、7時間未満、8時間以上の群で、高い高血圧有病率を認める
- 高齢者に比べ、中高年における睡眠と高血圧有発症の相関が高い
- 睡眠の質が低い場合も、血圧上昇の有意なリスク因子となる
- 睡眠不足で自律神経のバランスが崩れ、交感神経優位な状態にシフトすることが原因?
不眠と高血圧の関係は以下に示すような機序が推測されています。
〈不眠と糖尿病〉
- 短すぎる睡眠は細胞のインスリン感受性を低下させる(たった3晩でもインスリンの感受性が低下し、結果として血糖値が上がります)
- 睡眠の質が低い人も高血糖になりやすい
- ただし、直接的な因果関係は不明(高血糖値が睡眠不足で生じるのか、高血糖値の患者がよく眠れないのか、過体重で眠れないのか・・・)
- 『睡眠の質が悪い=高齢者/肥満患者』にも関連がある・・・かもしれない
今回はちょっと理屈っぽくなってしまいましたね💦 簡単に言ってしまえば「やっぱり寝るのは大切です」ということです。上手く寝るコツは、また次の機会でお話ししますね。