先日は、なの花薬局さん主催の『健康フェア』に多数ご参加いただき誠に有難うございました。前回の『健康フェア』は6年前、新型コロナのパンデミック前です。クリニックを引き継いだ時、「地域の方々に正確な健康情報を発信する場所にしたい」と思っていたのですが、まさか6年も間が空くとは・・・結構「待望の」開催だったんです。
今回、『自律神経』と『睡眠』を扱わせていただきました。実は、かなりチャレンジングな題材だったんです。というのも、『睡眠』はともかく『自律神経』って、ありとあらゆる体調不良の時に顔を出すんですよね。あまりに範囲が広すぎるので、話し出すと収拾がつかなくなる・・・そんな危険をはらんだ講演でした笑 当日のスライドを見ながら、すこし要点をまとめさせてもらいますね。
まず、そもそも自律神経とは何か、というお話。体の神経を大雑把に分類すると、以下のようになります。
ポイントは「自律神経は意思でコントロール不可能」というところです。よく交感神経は『アクセル』、副交感神経は『ブレーキ』に例えられるのですが、自律神経は「安全のために24時間、365日休まず働きづけてくれている自動運転システム」。何とも有難い存在ですよね。この二つがバランス良くはたらいてくれる状態がベストな訳です。
この自動運転システム、調整のためには様々なポイントがあるのですが、私が個人的に一番大切だと思っているのは「朝の過ごし方」です。というのも、交感神経と副交感神経はいずれもフルパワーで頑張っていればいいというわけではありません。昼間はグーとアクセルを踏んで(交感神経を高めて)、夜は緩やかにブレーキを踏む(副交感神経を高める)、これが一番いいバランスなんです。このアクセルとブレーキの切り替えで大切なのが“朝”の過ごし方です。
特に重要になってくるのは③「太陽の光を浴びる」こと。ほんと、メリットだらけなんです!
これ以外にも、自律神経を整えるために意識していただきたいことは沢山あります。というか、沢山ありすぎて、何をしていいか分からなくなる程です汗 何かいい覚え方はないか・・・と考えた結果、「オートマチックに動いている臓器を意識してアプローチする」のが分かりやすいと思いました。オートマチックに動いている臓器の代表は次の4つです。
この中で、特にアプローチしやすいのは『肺』と『汗』です。というのも、この二つは自動運転がメインではありますが、自分でもある程度コントロールできる臓器なんです。つまり、自律神経をコントロールするためには、この二つの臓器を意識するとより効果的だといえます。
「今から胃腸や心臓を止めてください」と言われても困ると思いますが、アプローチすることは出来ます。『胃腸』へのアプローチは「白湯(お湯)を飲むこと」、それも“体温より少し熱め”のお湯を“ゆっくり”飲むことです。『心臓』へのアプローチは「手のひらのタッピング」です。ドキドキしている心臓を落ち着けるために、子供をあやすような感覚で、神経の集まっている手のひらをトントンしましょう。
『肺』へのアプローチは「10秒かけて腹式呼吸」、1~3秒で鼻から息を吸いながらお腹を膨らませて、4秒でいったん止めて、5~10秒で口から息を吐きながらお腹をへこませる、これを4~5回繰り返しましょう。『汗』をかくためには「有酸素運動」が有効ですが、気軽にやるには「足湯」がお勧め。熱めの足湯に入った後に、温めのお風呂にゆっくり浸かると、びっくりするぐらい汗をかきます。自律神経も整いますよ。
その他にも、まだまだ沢山のアプローチがあります。
「揺らぎの中に身を置く」のは、副交感神経を高める最高の方法です。我々の生活は、壁で仕切られた部屋の中で、無機質なLEDライトの中、人工的なエアコンの風に当たり、不自然なパソコンの光に晒されて生活しています。“揺らぎゼロ”です。自然の光の中、そよ風に吹かれて、川のせせらぎなんかが聞けたら、副交感神経からしたら最高のご褒美です。
「歩き方」も大切です。良い姿勢は気道がまっすぐになり、呼吸が深くなって、自律神経が整います。肩の力を抜き、背筋を伸ばし、頭の中心がまっすぐ空に抜けるような意識を持ちます。脚はおへそを前に進めるような感じで前に踏み出し、ゆっくりリズミカルに歩く。これが理想的な歩き方です。
「笑うこと」は、副交感神経を高めるために、もっとも簡単にできる方法かもしれません。脳も活性化して認知症予防効果があったり、免疫を高めるナチュラルキラー細胞も増やし、感染症やがんの予防にも役立ちます。これ、作り笑いでもいいですし、口角を上げるだけでも意味があります。まずは朝、鏡に向かって口角を上げてみましょう。
音楽も、自律神経を整えるためには大切な手段です。“α波”が入った音楽は気持ちが穏やかになりますので、とてもいいのですが、こと「自律神経を整える」ということに関しては、そこまでこだわる必要もありません。大切なのは「脳が心地よいと感じる音楽を聴くこと」です。テンポが一定で、音階の変化が少なく、4~5分程度の長すぎない音楽がお勧めです。
『自律神経』と『睡眠』を意識した、最高の(?!)一日の過ごし方をまとめてみました。是非ご参照下さい。
物価高騰、異常気象、不安定な世界情勢、ネット社会の複雑化・・・現在は自律神経の乱れやすい時代です。毎日の生活に自律神経を整えるちょっとした工夫を行うことで、みなさんの生活が少しでも潤うことを切に願います。