寝ている時に大きないびきをかいていたり、人から「息をしてなかったよ!」なんて言われたことはありませんか?それ、『睡眠時無呼吸症候群』かもしれません。1970年代に提唱された病気なのですが、30年近くの間ほとんど話題になることはありませんでした。有名になったのは2003年、山陽新幹線で運転士が居眠り事故を起こしたことがきっかけです。実際、それまでの扱いは『怠け病』だったんです。
山陽新幹線の居眠り運転士事件の新聞記事 (日本経済新聞・2003年3月3日付)
いびきは眠っている間に狭くなった気道で呼吸をすると発生しますが、舌が気道へ落ち込んだり、首周りの脂肪による気道が圧迫されたり、扁桃が大きくなったりすることにより気道が完全にふさがることがあります。これが睡眠時無呼吸症候群の原因です。検査結果による厳密な診断基準もありますが、「一晩(7時間)の睡眠中に10秒以上の無呼吸が30回以上おこるか、睡眠1時間あたりの無呼吸数や低呼吸数が5回以上の場合」というWHOの定義が一番分かりやすいと思います。思い当たりませんか?
とりあえずセルフチェックしてみましょう。ネット上には色々なセルフチェックが載っています。ここでは『無呼吸ラボ』というサイトのものをお借りします。
無呼吸症候群セリフチェック(https://mukokyu-lab.jp/check.html)
何故無呼吸症候群を見つけなければいけないのか?「いびきがうるさいから!」なんていうのは二の次の話。本来の目的は「合併症の予防」です。高血圧症、心筋梗塞、脳卒中といった心血管系疾患のリスク因子であったり、いねむりによる自動車事故や仕事上のトラブル、生活の質の低下といった生活の上でのリスクにもなります。放置された重症な無呼吸症候群の7~8年後の死亡率が37%との報告もあり、医学的にも社会的にも放置できない病気なんです。
睡眠時無呼吸症候群の検査は、以前は一泊入院が必要でしたので、結構ハードルの高いものでした。でも、最近は手軽に検査することができるようになりました。『終夜ポリノグラフィー簡易型検査(PSG)』は、鼻からの空気の流れ、気管の音、血中酸素濃度などを測ることにより、無呼吸の回数や時間、いびきの頻度や寝ている時の大勢まで分かる、自宅で簡単に測定できる検査です(私もやってみたのですが、丸わかりでちょっと焦りました(;^_^A)。
当院でも行えますので、ご自身はもちろん、ご家族で気になる方がいらっしゃったら、お気軽にお問い合わせください。