院長都合により4月8日(水)の午前診療は休診となります(午後は通常通り診療いたします)。ご迷惑をお掛けしますが、何卒よろしくお願いいたします。

・・・ここで終わらせておけばいいのですが、いつもの悪い癖が(;^_^A 今回はいつも以上にマニアックな世界になっていますが・・・お許しください。
最近、音楽を手に入れるのは配信や動画が中心だと思います。いつでも手軽に音楽に触れられる利便性がありますし、斬新な映像とリンクさせたイメージ戦略にビックリすることもあります。ただ、オールド・ファンからすると、ちょっと心に残りにくいような・・・。80年代後半にMTVの勢いが強くなり、「我々の音楽のイメージはこんな感じですよ!」といった、「売り手側から買い手側へのイメージ付け」が当たり前になったように思います。私自身も『イメージ押しつけられ世代』なのですが、それより以前のアルバム・ジャケットのもつ“芸術性”と“物語”には圧倒されるばかり。「この素晴らしさを、是非皆さんと共有したい!」という勝手な思い込みからの企画です笑 今回は「美しさ」に拘った作品を紹介します。
目次
ウィッシュボーン・アッシュ『Argus』

1970年にデビューした英国のバンド、ウィッシュボーン・アッシュの名盤『百眼の巨人アーガス』(1972年)は、プログレッシブ・ロックの叙情性と構築美が高いレベルで融合した名盤。ツイン・ギターが織りなす旋律美と、緻密に組み上げられた楽曲構成が聴き手を深く引き込みます。激しさと優雅さが同居するサウンドは、まさに“百の眼”で物語を見つめるかのような多層的な表情を持ち、聴くたびに新たな発見をもたらしてくれます。この素晴らしい楽曲群をさらに引き立たせているのがこのアートワーク。神話的モチーフを幻想的に描いますが、その静謐でどこか不穏な佇まいは、音楽世界への扉として完璧にマッチしています。それにも関わらず、裏の構図にはUFOらしき影が!遊び心もある、個人的にもっとも好きなアルバム・ジャケットです。
イ・プー『PARSIFAL』

イタリアのプログレッシブ・ロック界の至宝、イ・プーのアルバム・ジャケットには、どれも物語があります。とりわけ、この『PARSIFAL』(1973年)は、音楽だけでなくジャケットアートの完成度でも特筆すべき一枚。Maggioniによるアートワークは、中世的象徴性と神秘性を湛え、ワーグナーの舞台神聖祭典劇『パルジファル』に触発されたアルバムの世界を視覚的に凝縮、観る人に“これから始まる物語のプロローグ”を印象付けてくれます。壮大なオーケストレーションとイタリアン・ロック特有の叙情性に、ジャケットの神秘性が融合することで、単なるロック・アルバムの範疇では収まらない“総合芸術”まで昇華しています。前編イタリア語で馴染みにくいかもしれませんが、是非ご一聴を。
ラッシュ『Moving Pictures』

80年代以降のロック史に大きな影響を与え続けているアメリカのバンド、ラッシュの代表作『Moving Pictures』(1981年)は、音楽と視覚表現が高度に結びついたコンセプチュアルなアルバムです。特にヒュー・サイムによるジャケットは、建物前で“絵画を運ぶ(moving)”人々、その光景に“感動して涙ぐむ(moving)”見物人、さらにその場面自体を“映画のように撮影する(moving pictures)”カメラマン――三層の「moving」が一枚に凝縮した、アルバム・タイトルを三重の意味で視覚化した巧妙な作品。音楽面では、シンセとギターが緻密に絡むプログレッシブな構築美が光り、ジャケットの多義性と相まって、本作はラッシュの芸術性を象徴する一枚となっています。
ルネッサンス『Scheherazade & Other Stories』

アルバムアートワーク界の巨匠、ヒプノシスのチームは、ピンク・フロイドや10ccなどの一見奇妙にも見えるジャケットのデザインで有名ですが、このアルバムはその真逆ともいえるシンプルで愛らしいもの。ルネッサンスの1975年の名盤『Scheherazade & Other Stories』には、このデザインに相応しいお伽話の本のようなカヴァーが施されており、ヒロインのイマジネーションから飛び出したキャラクターが描かれています。ただ、実際のアルバム・ストーリーは、「ヒロインが『女性不信から毎晩新しい花嫁を迎え、翌朝に処刑する』という残忍な国王と結婚する」というシュールなもの。こういったギャップも、アルバム・ジャケットの楽しみ方の一つです。
イエス『Yessongs』

1973年にリリースされた、Yesの3枚組ライブアルバム『Yessongs』。Yesの多くのアルバムのアートワークを手掛けているロジャー・ディーンの作品の中でも特に壮麗で、浮遊する台地や有機的なアーチ構造などの異世界的な風景が、バンドの複雑な構築美と演奏の高揚感をよく表しています。アルバム一枚一枚に『gate(門)』が用意されており、それぞれをビジュアル化した圧巻のイラスト!映画『アバター』の世界観はここから影響されている・・・なんていう噂も、あながち間違いではないと思います。サウンドとビジュアルが互いを補完した、Yes の追求した“トータル・アート”の理念を最も雄弁に語る一枚です。
Gate 1

Gate 2

Gate 3
