少し時間が経ってしまいましたが、2019年8月21日の中日新聞『教えてドクターQ&A』で『早朝高血圧』について書かせていただきました。血圧計の性能が進歩し、値段もお手頃になってきたことで、家庭での血圧測定が一般的になってきました。その結果注目されるようになったのですが、これ、非常に大切な病態なんです。
血圧は1日中一定しているわけではありません。一般的に夜寝ている間は低く、朝方から午前中にかけてゆっくりと上昇し、昼間は高くなっていきます。このリズムが崩れて朝の血圧が高くなるのが『早朝高血圧』です。以下の表は心筋梗塞や脳梗塞の一日における発症時間の頻度を表しています。いずれも午前中に多いことがお分かりだと思いますが、この理由に『早朝高血圧』が大きく関わっています。
早朝高血圧の原因は様々です。高血圧自体のコントロールが不十分、糖尿病や腎臓病、睡眠時無呼吸症候群などの持病があるなど、病気自体が原因のこともありますし、睡眠不足やストレス、飲酒や喫煙など生活習慣が原因になることもあります。
治療はもちろん原因の除去が第一です。薬は長時間作用する降圧薬に変更したり、服薬時間を朝から夜に切り替えたり、交感神経の働きを穏やかにして血圧の上昇を抑える薬(α遮断薬など)を使用したりします。いずれにしても、まずはご自分の朝の血圧を把握し、気になる方は主治医の先生に相談してみて下さい。