連日の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の報道に、疲弊されている方も多いと思います。色々な情報が錯綜し、何とも言えない不安感や恐怖感に包まれている毎日。これって、「今日〇〇人の死亡者が発生しました!」といった、シビアの情報が強調されているからではないでしょうか?もちろん大切な情報なのですが、多くの皆さんに知っていただきたいたいのは、「どういう時に新型コロナウイルスを疑うか?」ということです。2020年3月11日に、日本プライマリ・連合学会から発表された『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療所・病院のプライマリ・ケア初期診療の手引き』にまとめられていましたので、その要点をまとめてみます。
新型コロナウイルス感染症の経過には、以下のような特徴があります。
1.感染から約5日間(1~14日間)の潜伏期間がある
2.感冒様症状(発熱、咳、痰、咽頭痛、鼻水など)、倦怠感等が出現する
3.一部の患者では嘔吐、下痢などの消化器症状を呈することもある
4.これらの症状が比較的長く、約7日間持続する
この中で、特にポイントになるのが『倦怠感』で、「体温がそれほど高くないのにダルさが強い」ことがあります。さらに、症状が7日以上続いた場合は、①約8割の人は自然に治癒、②約2割の人は肺炎を合併、特に高齢者や基礎疾患(循環器疾患、糖尿病、COPD、喘息)のある人の合併率が高い、③肺炎になった人の一部が集中治療や人工呼吸を必要とする、といった経過をとります。
一般的な風邪やインフルエンザとの違いは以下の通りです。
新型コロナウイルス感染症と一般的な風邪との違い
以上を踏まえると、新型コロナウイルス感染症を疑うべき状況はこのようになります。
・発症から4日以上たってもよくならない
・熱のわりにダルさが強い
・経過中に肺炎のような症状が出てきた
・経過に関わらず、心臓や肺、糖尿病がある、高齢である、妊娠中である