「血圧130を超えたら早めの対策を」なんてCMありますよね。キャッチ―な響きで血圧に意識を向けるためによい表現だと思いますが、実はこれ、海外の降圧目標値と比べるとちょっと高めなんです。一般的に医療におけるこういった数値は“何となくの経験則”で決まるものではなく、多くの人が参加する臨床研究から導き出されます。降圧目標に関しては2015年に米国心臓協会学術大会で発表された「血圧を120mmHg以下に下げると、心血管系の病気のリスクを下げる」(SPRINT試験)という報告を根拠に、各国で比較的低めに設定されています。ただ、「下げすぎることでかえって狭心症の発症頻度が増えた」なんて報告があったり、これまでの日本の現場での肌感覚と合わなかったりしたため、現時点で最新の『高血圧治療ガイドライン2014』では、以下のように目標を設定しています。皆さんの血圧は、降圧目標をクリアしていますか?
「高血圧治療ガイドライン2014」が定めている降圧目標
これを見ると、「130を超えたら~」は意味のあるキャッチコピーであることが分かると思います。ちなみに、このガイドラインでは病院で血圧が上がってしまう方のことも考えられていますが、アドバンテージはたった“5mmHg”。「いやぁ、病院来ると高くなっちゃうんだよね。家ではもっと低いから大丈夫。」はあんまり通じないんです(^-^;
特に気を付けたいのが『糖尿病を合併した血圧管理』です。糖尿病の分野で有名なACCORD試験では「血圧を厳密に(実際には120mmHg以下)に管理すると、管理していない人に比べて41%も脳卒中のリスク下げる」と報告しています。これは、耐糖能異常が出てきた段階、つまり「糖尿病のけがありますね~」の段階も含みますのでご注意を。
何となくの血圧コントロールでも、必ず脳梗塞や心筋梗塞が起こる訳ではありません。でも、起こった時の後悔は筆舌に尽くし難いものがあります。皆様のこれから先に起こるかもしれない後悔の可能性を少しでも減らしたい!心当たりのある方は、是非一度相談してみて下さいね。