新しい年を迎えましたが、年明け早々、恐ろしい災害や痛ましい事故が続いています。特に、元日に起こった石川県能登地方を震源とする能登半島地震に関しては、崩壊した家屋の映像、日々更新される被害状況、避難所で苦労されている方々の様子など、多くの方々が心を痛められていると思います。改めて、被害にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げます。
私個人のことで大変恐縮しますが、平成7年に起こった阪神淡路大震災の際はまだ医学部に入る前で、何もできない自分に、何とも情けない気持ちになった記憶があります。「医者になって、もし大災害が起きたら絶対被災地に行くぞ!」と思っていました。平成23年に起こった東日本大震災の際は、大学病院で内科系救急の指導もしていましたし、もちろんいの一番に被災地に行こうと手を挙げたのですが・・・結果的には行けませんでした。当時医局長をしていたのですが、「医局長がいなくなったら、医局の診療自体がまわらなくなる」というのが主な理由です。入院患者さんの診療はもちろん、週3回の大学外来、週2回の救急外来担当、週2回の近隣病院外来、もろもろの会議等、悔しかったのですが、確かに自分が抜けた後のことを考えると無理だったと思います。
その状況で何かできないかと考えた結果、「若手の先生に対して“災害医療”の重要性を伝える」ということを行ってみました。被災をされた方々に直接お役に立つことができなくても、災害医療の大切さを伝えることで、一人でもいいので伝えた先生の心に残ってくれれば、次の災害が起こった時の力になるハズ・・・と思ったからです。13年前のことですので、その時の先生方がどのようなアクションを起こされているか分かりませんが、何らかの形で繋がっていてくれたら、と思います。
開業してしまった今は、当時よりも被災地に向かうことが出来ない立場になってしまいました。こんな文章を書いているのも心苦しいばかりです。ただ、当時まとめた内容の中に、一般の方々にも役立つ情報がありましたので、今回災害の状況も踏まえてまとめてみることにしました。このブログのいつもの趣旨とは大きくずれますが、被災された方、もしくは関係者の方のお一人でもいいので、この内容が少しでもお役に立てればと切に願います。
災害時の健康管理(PDF)
文章を書いていても、改めて何もできない自分の無力さに情けなくなります。それどころか、「文章で書くのは簡単だけど、実際こんなこと出来ないよ!」と、腹立たしく思われる方もいらっしゃるかもしれません。本当に申し訳ありません。
改めまして、この度の災害でお亡くなりになられた方々に対し、心よりお悔やみ申し上げます。被災された方々が少しでも心安らげる日が来ることを、祈念してやみません。どうぞお身体ご自愛下さい。