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お知らせ医療ブログ

「何か胃の調子が💦」・・・それ、多分サインです!

激烈に暑かった8月が終わり、朝晩には少しずつ秋の気配が感じられるようになってきました。 一方で、夏休みが明けて新学期が始まったり、職場でのプレッシャーが増えたりと、生活のペースがガラリと変わる時期でもあります。

 

「病気の流行りで季節を感じる」という、お医者さんの悲しいあるあるがあるのですが、この時期に増えるのが、「なんだかお腹の調子が悪い」「胃がすっきりしない」といった相談です。もちろん、夏に冷たいものを摂り過ぎたり、食欲の秋で食べ過ぎてしまったり、ウイルスや細菌による感染だったり様々な原因がありますが、今回はストレスとの関連を少し。みなさん、緊張するとお腹が痛くなったり、心配ごとがあると食欲が落ちたりした経験はありませんか? 新学期や仕事復帰など、生活環境の変化によるプレッシャーや緊張は、自律神経を介してダイレクトに胃や腸の動きに影響を与えてしまうのです。

 

心と胃腸の切っても切れない関係(脳腸相関)

 

心と胃腸の関係を理解するために、最初に『脳腸相関(のうちょうそうかん)』について説明させてください。『脳腸相関』とは、一言で言うと「脳と腸が、お互いに強い影響を与え合っている特別なネットワーク」のことです。頭にあって考えたり感情をコントロールしたりする『脳』と、お腹にあって食べたものを消化・吸収する『腸』、一見全く無関係な2つの場所ですが、この2つは神経を通じてまるで“直通電話”で会話をしているかのようにリアルタイムで情報をやり取りしています

 

  1. 「脳から腸へ」のSOS

 

精神的なストレスや緊張を感じると、脳から自律神経を通じて一瞬で腸へ信号が伝わります。

 

  • 大切な発表の前に、急にお腹が痛くなって下痢をする
  • 悩みごとや心配ごとがあると、喉を通らず食欲がなくなる

 

これらはすべて、脳が感じたストレスや不安が直通電話でそのまま腸に届き、腸の動きが暴走したり(下痢)、逆にピタッと止まったり(胃もたれ・便秘)することで起こる現象です。

 

  1. 「腸から脳へ」のSOS

 

実はこの直通電話、脳から腸への一方通行ではありません 驚くことに、やり取りされる情報の約8~9割は「腸から脳」に向かって発信されています。

 

  • 腸の調子(便秘や荒れ)が悪いと、なんだか気分が落ち込んだりイライラする
  • お腹の調子が整うと、頭がスッキリして気分も晴れやかになる

 

腸の粘膜の状態や腸内細菌(腸内フローラ)のバランスが崩れると、その不快な信号が脳へ届き、不安感や気分の落ち込みを引き起こすことが分かっています。

 

  1. 「幸せホルモン」も腸で作られている

 

心を安定させる神経伝達物質に『セロトニン(幸せホルモン)』があります。 このセロトニンは脳で働くイメージがありますが、実は体内のセロトニンの約90%は「腸」で作られ、存在しています。つまり、腸内環境を良く保つことは、お腹の調子を整えるだけでなく、メンタルを安定させるためにも非常に重要だということです。

 

ちょっとプロっぽい話も(興味の無い方は読み飛ばして下さいね)。腸内には約100兆個という膨大な数の細菌が住んでいるのですが、近年の研究で、これらの腸内細菌が産生する物質が脳の機能に大きな影響を与えることが分かってきました。特に注目されているのは、腸内細菌が産生する『神経伝達物質』です。

 

先程、セロトニンの約90%は腸で作られると説明しましたが、それ以外にも、やる気や集中力に関わるドパミン、リラックス効果のあるGABA(ガンマアミノ酪酸)なども腸内細菌によって作られます。これらの物質は、脳を守るための門番のような役目をしている『血液脳関門』を通過して脳に到達し、私たちの気分や認知機能に直接影響を与えます。

 

さらに、腸内細菌が産生する短鎖脂肪酸(酪酸、プロピオン酸、酢酸など)は、脳の炎症を抑制し、神経細胞の保護に重要な役割を果たしています。特に酪酸は血液脳関門の機能を改善し、脳の健康維持に欠かせない物質として注目されています。

 

反対に、腸内環境が悪化すると、有害な物質(リポポリサッカライドなど)が産生され、これらが血流に入って脳に炎症を引き起こし、認知機能の低下などを引き起こすと言われています。実際、アルツハイマー型認知症の患者さんの腸内細菌叢(腸内フローラ)に特徴的な変化があることが明らかになってきています。

 

こんな症状はありませんか?

 

環境の変化やストレスが原因で起こりやすい胃腸症状、つまり『脳腸相関』色濃く関係している症状には、以下のようなものがあります。

 

  • 胃の不快感・みぞおちの痛み(胃酸の分泌過多や動きの低下)
  • 食欲不振、胃もたれ
  • 便秘や下痢を繰り返す、突然のお腹の痛み
  • 便意を感じやすく、通勤・通学の電車が不安になる

 

検査をしても目立った異常が見つからない場合でも、ストレスによって胃腸の「機能」が低下しているケース(機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群など)は少なくありません

 

今日から実践!心と胃腸を整えるケア

 

まずは無理をせず、心と体を少しずつ「日常モード」にならしていくことが大切です。

 

  • 温かい食事・飲み物を選ぶ: 冷たいものの摂りすぎで疲れた胃腸を温め、リラックスさせましょう。
  • 朝の光を浴びて自律神経をリセット: 朝起きたらカーテンを開け、太陽の光を浴びることで体内時計と自律神経が整います。
  • 「首」のつく場所を温める: 朝晩の寒暖差で体調を崩しやすいため、首元や手首・足首を冷やさない工夫を。
  • 「小さなSOS」を見逃さない: 「自分が思っている以上に、心と体は緊張しているんだな」と認めてあげることが第一歩です。

 

「単なる疲れ」「気のせい」と我慢してしまう方も多いですが、胃腸の不調が続くことで食事が摂れなくなったり、さらにストレスが溜まったりと悪循環に陥ってしまうこともあります。また、症状の裏に別の病気が隠れていないか確認することも大切です『脳』と『腸』の“負の相関”を早めにとってあげることが、これらの病気をコントロールする一番の鍵になります

 

「お腹の調子が戻らない」「だるさが抜けない」と感じたら、どうぞ我慢なさらず、お気軽にご相談くださいね。