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『健活』&『メン活』でコロナと戦う!

コロナウイルスが猛威を振るっています。自宅待機になっている方々の悲しいニュースが次々に舞い込んでくるたびに、医療の限界のようなものを感じてしまいます。正直、ここまで強敵になるとは・・・。日本中の医療関係者全員が“one team”で戦わないといけない状況になっています

メディアでは、当初から救急外来や集中治療室の混乱や、コロナ感染患者さんを受け入れている地域の一般病院の様子を伝えてくれています。また、最近は自宅に直接診療に出向く訪問診療の様子もよく流れています。長く救急外来に携わっていた自分としては、頭の下がる思いです。それに比べて、一般のクリニックの先生方が何をしているかは、今一伝わってないような気がします。むしろ、「コロナウイルスとの闘いに参加していないから、もっと参加しろ!」みたいな論調もあります。当院もコロナウイルス感染症の診療、ワクチン接種、集団接種への医師・看護師派遣を行っていますが、まだまだ頑張らなければいけないと思っています。

ただ、個人的には、コロナ渦における開業医の大切な役割の一つは「コロナ禍で急増する健康二次被害に備える」ことだと思っています。感染拡大の勢いが強すぎて目立っていませんが、コロナ渦の今、様々な健康問題が出てきています。実際、医師5071人に対して行われたコロナ禍における日本人の健康状態に関するアンケートでは、医師の約4割が、患者さんの健康状態が「悪化している」または「やや悪化している」と回答しています。

その理由として、以下のことが考えれます。

  • 外出頻度の減少やスポーツジムなどの閉鎖による運動不足

  • テレワークによる長時間の座位姿勢による肩こり、腰痛、目の疲れ

  • 外出控えや飲食店の早い閉店による食生活の変化

  • 受診控えや健診控えによる病気の発見の遅れ

  • 人と会う頻度が減ったり、趣味や旅行が出来なくなったことによる気持ちの落ち込み

  • コロナが怖くて外に出られなくなり引きこもり

  • 普段家にいない人がいることでの生活リズムの変化、ストレス

こういったネガティブな状況を少しでもポジティブな方向に持っていくのが、地域を支えるクリニックの大切な役目だと思います。

やるべきことは色々ありますが、私はこれを『健活』『メン活』と呼んでいます。健康活動とメンタル活動のことで、ま、私の造語です(^^;) こういうのって、あんまり深刻に考えても続かないものです。時々ふっと思い出して、普段の生活の中に、さらっと組み込んでもらうのが一番だと思います。何か思い出しやすい、キャッチーな語呂合わせないかなって考えたんですが・・・“STRESS Go! Go!”(吹っ飛べ!ストレス)なんてどうでしょうか?

Sports(運動)

運動は、体だけではなく心のコリもほぐしてくれます。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」では、「1日60分、元気に体を動かすこと」を奨励しています。これは、「60分ガッツリトレーニング!」というわけではありません。通勤での歩行や庭の掃除、買い物など、日常のちょっとした運動を足して、トータル60分で大丈夫です。ラジオ体操やテレビ体操、ネット上の運動動画などを有効に使いましょう。

Travel(旅行)

本当は家族や友達と遠くに遊びに行きたいところですが・・・ちょっと我慢。近所の公園に出かけたり、犬の散歩をしたりなんかも十分な気分転換になります。その際、緑のあるところや水辺なんかはリラックス効果抜群!自然の多い公園でゆっくり日光浴なんて素敵ですよね。

Recreation(レクリエーション)

混沌とした日々には、遊び心が大切!仲間と楽しく過ごせたら最高ですが、こんなご時世ですので、家族や一人で楽しく過ごす時間を充実させましょう。新しい趣味を始めてみるのもいいですし、たまには読書や映画などにどっぷりはまってみるのもいいと思います。「スマホやゲームばっかりやっちゃダメ!」なんて固定観念はちょっと置いておいて下さいね。質の高いレクリエーションもいっぱいありますよ。

Eating(食事)

免疫力を高めるためには「腸内環境を整える」「活性酸素(過剰になると細胞を傷つけて動脈硬化や免疫低下につながる酸素)を除去する力を強くする」ことが大切。ビタミン類、食物繊維、ポリフェノール、タンパク質などをとる必要があります。お勧めの食材は肉、魚、卵、大豆製品、乳製品、緑黄色野菜、キノコ類、発酵食品、緑茶、など。やっぱり日本食がいいんですよね。また、タンパク質、ビタミンB1、ビタミンC、カルシウムはストレスに強くなる代表的な栄養素です。

Sleep(睡眠)

日本人は世界でも有数の「睡眠下手」と言われています。質の良い睡眠をとることは、疲れた脳を休ませ、高まった交感神経を穏やかにしてくれます。また、糖尿病、高血圧症、肥満症、うつ病、認知症など様々な疾患との関連も報告されています。しかし、ここで注意!「睡眠負債」なんて言葉が出てきたことにより、なんとなく「沢山寝なくちゃいけない」と思いがちですが、これはある意味間違い(むしろ、睡眠時間が長いと平均寿命が短くなるなんてデータもあります)。睡眠時間は年齢とともに減っていきますので、それぞれの世代に合った、「適切な時間」の「質のいい睡眠」をとりましょう

Smile(笑顔)

お腹の底から大笑いすると、気持ちも体も元気になった気がしますよね?これ、最近は医学的にも証明されているんです。笑うと免疫のコントロールを行っている間脳に興奮が伝わり、最終的にがん細胞やウイルスを攻撃するNK細胞が活性化することが分かっています。また、脳の血流がアップすることにより、うつ病や認知症の改善効果があったり、血行が促進されて新陳代謝が活発になったり、リラックス神経(副交感神経)が働いて自律神経のバランスがとれたりと良いこと尽くめ!意図的に笑顔を作るだけでも効果がありますよ

Go clinic(定期的な受診)

感染拡大が始まった昨年、厚生労働省は、蜜状態を回避するために医療機関への受診を控えるようにアナウンスしていました。その結果、過度な受診控えから、慢性疾患の増悪など健康上のリスクが高まってしまいました。当時に比べて、各医療機関は感染対策を徹底しています。健康の不安があるときは、まずかかりつけ医に相談しましょう。定期的な健康診断もお忘れなく。

Go Cancer screening(定期的ながん検診)

日本対がん協会は2020年に実施された5つのがん検診(胃、肺、大腸、乳、子宮頸)の受診者はのべ394万1491人で、2019年の567万796人から30.5%の大幅減となったと報告しています。2018年の各がん発見率を掛けて計算すると、約2100のがんが未発見となっている可能性があります。日本全体では少なくとも1万人以上のがんが未発見となっていることが予想されます。定期的ながん検診を心がけてください。

『メン活』に関しては、気楽に考えれば大丈夫です。泣ける映画を観て泣いたり、恋愛ドラマを観てドキドキしたり、可愛い犬猫動画をみて癒されたり、好きな歌を大声で歌ったり、貴方なりの『メン活』方法を見つけて下さい。もちろん、感染対策も大切です。「気を付けることは気を付けて、楽しむことは楽しむ」というメリハリの利いた生活を送ることが大切です。

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