「風邪をひいたかも?」症候群

先日、なのはな薬局様企画の『健康フェア』を当院で開催させていただきました。当日は見事に台風が直撃してしまいましたが、午前中にさせていただいた講演会(?)には多くの方々に参加していただきました。お忙しい中、本当に有難うございました。

 

さて、今回は「風邪」をテーマに扱わせていただきました。「何で改めて風邪?」と思われたかもしれません。確かに、最もありふれた病気だと思いますし、病院に行かずに市販薬を買ってさっさと治される方も多いと思います。多少こじれて病院に行ったとしても、「まぁ、風邪ですね~。お薬出しておきます。」でそのうち治っておしまい!なんてことが大部分です。でも、「風邪だと思ったら肺炎で入院!」「熱が出たから風邪薬飲んだのに、腎盂腎炎で救急搬送!」なんてこと、救急外来をやっていると日常茶飯事!中には、命に係わる病気であることもしょっちゅうです。風邪診療はまさに“地雷だらけ”なんです。

 

 

「じゃあ、お医者さん達はさぞかし風邪診療の勉強をしてるんですね?」――答えは「ほとんどしていません!」です(恥ずかしながら(*_*;)。医学部の6年間で『風邪』という括りで授業を受けることは、ほぼ皆無です。では医者になってから勉強するかというと、ほとんどの場合はそうではありません。多くの先生方は、医者になった後自分の専門分野を一生懸命勉強されますので、腰を落ち着けて風邪の勉強をすることは恐らくないと思います。もちろん、多くの症例を経験はしています。でも、極端なことを言えば、知識に関しては「素人に毛が生えた程度」なんです(もちろん、そうじゃない先生もいらっしゃいますが)。

 

“地雷だらけ”の風邪診療で、「素人に毛の生えた程度」の知識の人に診てもらうためにはどうしたらいいか・・・これが今回のテーマでした。色々な話をさせていただきましたので詳細は書ききれませんが、気を付けていただきたいのは以下の2点です。

 

① 問診表に「風邪」と書かない!

「どのような症状で受診されましたか?」といった質問項目に対して「風邪」と書かれていることがあります。私達の仕事で最も大切な診断を既にしていただいていてこんなに楽なことはありませんが、医者にそんな楽をさせる必要ありません(笑)。そして、最も問題となるのが、こういった書き方をしてしまうと、診察する側に「また風邪か。じゃあ、いつものセットで・・・」みたいな、判で押したような対応をされてしまう可能性が高くなってしまうんです。こういった診療を、我々の世界では『ゴミ箱診断』と表現し、最も悪い診察姿勢と言われています。もちろん、“地雷”を見落とす確率も格段に上がります

 

② 「いつもの風邪に比べてどうだろう?」と考えてみる

日本では、何かあれば「風邪かな?」と考える“文化”のようなものがあります。本来ならば“咳・のど・鼻水”の症状がバランスよくある時に初めて風邪を疑うのですが、「熱が高いから風邪」、「身体が怠いから風邪」、「頭が痛いから風邪」と考えがちです。「だったらいっそのこと、『風邪をひいたかも?』で分類しちゃいましょう!」というのが、風邪診療のプロの先生方の考え方です。「風邪をひいたかも?」の時に『咳や痰が目立つタイプ』『咳や痰が目立たないタイプ』に分けて、その中で特にどの症状が目立つかで鑑別を進めていく方法です。特に気を付けなければいけない症状について、別紙にまとめましたので参考にして下さい。この中のどの症状が一番強いか、診察の際に是非伝えてみてください。

 

「風邪をひいたかも!?」の時のチェックシート

 

簡単に言えば「実は、お医者さんは風邪診療にそんなに精通している訳ではないの、怖い病気を見落とさないよう(見落とさせないよう)、どうぞ手伝ってくださいm(_ _)m」ということなんです💦