そろそろ秋の健康診断の結果が出始めている頃だと思います。一年間の「健康通知表」みたいなものですし、結果の報告は結構ドキドキですよね💦 でも、将来の大きな病気を防ぐための大切な情報です。是非結果を有意義に使って下さい(^^)

 

この健診結果で最も話題に話題に上るのが「コレステロール」なんじゃないでしょうか。このコレステロール、高いと何となく動脈硬化が進んでよくない・・・みたいなイメージはあると思います。じゃあコレステロールって何なんだと聞かれると、ちょっと困りますよね?今回のメインテーマはこれです。

 

コレステロールとは体の構成成分の一つである脂質の一種で、人間の血液の中だけでなく、脳、内臓、筋肉など全身に広く分布しており、様々なものの主要成分になっています。特に人体を構成する約60兆個の細胞の膜の材料であることを考えると、コレステロールは体になくてはならないものです。コレステロールの値が低いと癌の発症率が上がるとも言われていますし、決して悪者ではないんです。このコレステロール、油なので、そのままでは水分の多い血液の中に溶け込むことはできません。そのため、タンパク質に包まれることにより血液中を流れやすくなっています。このタンパク質に包まれた状態を「リポ蛋白」といい、大きさによって4種類に分類されます。

 

<リポ蛋白の種類(比重の小さい順番に)>

・カイロミクロン
・超低比重リポ蛋白(VLDL)
・低比重リポ蛋白(LDL)
・高比重リポ蛋白(HDL)
・超高密度リポ蛋白(VHDL)

 

一般的な血液検査で測定するのは「HDLコレステロール」「LDLコレステロール」だと思います。HDLは血管壁に付着したコレステロールを引き剥がして肝臓へ運ぶことから、動脈硬化の防止につながる「善玉」と呼ばれています。逆に、LDLは肝臓で作られたコレステロールを全身へ運ぶことから、動脈硬化を促進する「悪玉」と呼ばれています(このキャッチ―なネーミングを最初にした先生、センスいいですよね(*^^*))。

 


https://matome.naver.jp/odai/2145871691882811901/2145879691734588503

 

長年、「善玉コレステロールと悪玉コレステロールの比率が大切!」なんて言われてきましたし、現在でもその考えが否定されている訳ではありません。ただ、この悪玉君、そこまでの悪人ではないことが、最近の研究で分かってきました。確かに、悪玉君は血管の壁にコレステロールを塗り込むことにより動脈硬化がすすみます。でも、「血管の壁をどんどん傷つけて、よりコレステロールを塗り込みやすくする」という、もっと悪いことをしているコレステロールがあるのです。善玉でも悪玉でもない第三のコレステロール・・・これを「レムナント(英語で“残り物”という意味です)コレステロール」といい、これが動脈硬化を来す「真の悪玉」な訳です。

 

この「レムナントコレステロール」は、独立した検査項目ではありませんので、健診データを隅々まで見回してもどこにも載っていません。でも、実は簡単に求める方法があります。健診結果の「総コレステロール値」と「HDLコレステロール値」をチェックしてみて下さい。

 

(総コレステロール値)-(善玉コレステロール値) =(non-HDLコレステロール値)

 

この値が150~169mg/dLの方は動脈硬化に対して「やや危険」、170mg/dL以上を「危険」と判断します。

 

ちなみに、当院ではより詳細に動脈硬化の評価ができる『ROX-index』も採用していますので、ご興味のある方は是非お問い合わせください。

 

じゃあ、この数値が高い時にどうすればいいか ―― それはまた別の機会に。